工場・デザイナー探訪

IT業界から職人の道へ。デジタルガジェットケースを主力とする異色の若手革職人

新宿キャットウォーク(新宿猫歩)

(東京都 デジタル機器用革小物の製造)

  • 商品企画開発支援
  • デザイン設計
  • パターンメイキング
  • 素材・材料の手配提供
  • サンプル・試供品の制作
  • 金型・工作機械の使用
  • 本生産
  • 小ロット生産可能

デジタルガジェットのケースを専門に製作する珍しい革職人がいる。今回訪問した新宿キャットウォークの松永治久さんだ。ベジタブルタンニンでなめした国産の最高級の革と糸だけを用いた「世界一シンプル」と自負する革ケースが人気だ。Apple社「Macbook」やキングジム社「pomera」向けのケースが主力だが、ユビキタスエンターテインメント社の手書きタブレット「enchantMOON」用のケースでは本体発売前から100個以上受注するなど、新製品への対応も早い。自身がデジタルガジェットのハードユーザーでもあるため、使い勝手は折り紙つき。今では多くのリピーターを抱えるという松永さんにお話を伺った。

デジタルガジェットのハードユーザーだからこそ

松永さんは、大学を卒業してから創業まで、ずっとIT業界に身を置いていた。上場企業やベンチャー企業数社で、プロジェクトマネージャーとして活躍していたそうだ。そのためデジタル機器には造詣が深い。特にノートパソコンやタブレット、スマートフォンなどに始まるデジタルガジェットは大好きで、仕事・趣味の両面でハードに使っていた。新しいものや珍しいものにも目がなく、発売後はいち早く購入してしまうという。

革職人になるきっかけは、2008年11月に株式会社キングジムから発売された初代「pomera」だ。今では根強い人気があるpomeraだが、当時はそれほど知名度がなかった。松永さんはこの機器を購入し、すぐに持ち歩いたという。そのため専用ケースが欲しかったが、同社からは発売されておらず、市場にもほとんどなかった。そこで「自分で作れないか」と軽い気持ちでチャレンジ。素材は、クラフトショップで見て気に入った「革」を選んだ。当然ミシンなどもなく、作り方を調べながら手縫いで作った。ところが、完成したケースをネットに載せたところ、驚くことに「欲しい」という人が続々現れた。そこで、細々と販売をはじめた。本業は多忙を極めたが、深夜や休日に作るのは楽しくのめり込んでいったという。気がつけば1年間で30個ほど売れていた。

合間に革問屋を調べ、自ら足を運んだ。熟練の店主に勧められ、最初は安い革からはじめた。その後も頻繁に通い、知識がつき、店主との信頼関係が築けるに従って、扱える革のレパートリーも増え、「革」という素材に惚れ込んでいった。そこで出会ったのが、なかなか手に入らない、東京で作られているベジタブルタンニンなめしのオイルレザーだ。できる限りこの革本来の良さを活かそうと日夜研究し、今の「革」と「糸」だけを使う、デザインも製造方法も「世界一シンプル」なスタイルになった。

日本のなめし革の良さを後世に伝えたい

その後も「革」に没頭し、2010年からネットショップで販売。ラインナップを拡充し、働きながらも月間10個ほど販売していた。品質や生産性を高めるため、技術を習い、ミシンも導入。フリーマーケットで買い込んだ革小物やバッグを分解し、研究したりもした。2012年には、有名工業デザイナー奥山清行氏が講師を勤める日本元気塾へ参加。「日本のものづくり」のすごさを改めて実感し、その技術・文化を後世に残したいと考えるようになり、同じ思いの仲間もたくさんできた。「問屋さんの話だと、日本の革は終わってしまいそうな雰囲気。原皮はしょうがないとしても、日本のタンナー(革製造業者)さんは、本当に手間ひまをかけており、その技術は無くなってほしくない。これからもずっと使い続け、残していきたい」と想いを語ってくれた。

そしていよいよ職人として、本格的に始動する。2013年頃のことである。ユビキタスエンターテインメント社の手書きタブレット「enchantMOON」には、前々から興味があった。そこで発売と同時に購入し、ケースを作ることを宣言したところ、それが同社社長の目に止まり、会社で実機を触らせてもらえることになった。発売前に試作品を発表したところ、同社でも取り上げてもらえた。本機の発売前にすでに100件以上の注文があったという。今は、革職人を本職として、革小物の製作に邁進している。と同時に「ものづくりの会」という職人・クリエイターのマッチング会を主催するなど、各方面で精力的に活動している。

特定の領域における知識の深さは、ユーザー目線のものづくりにおいて、非常に武器になる。デジタルガジェットの革ケースで、松永さんほどノウハウがある人はいないだろう。

新宿キャットウォーク(新宿猫歩)

【事業内容】 

デジタルガジェット用革小物の企画・製造・販売

【所在地】 

東京都世田谷区

【創業年】 

2009年

【取扱品目】 

デジタル機器用革小物(Macbook、pomera用などを現在販売中)

【ロット】 

1~

【サンプル】 

有償対応 応相談

【製造実績】

  • PC向け革ケース、バッグ、革小物のオーダーメイド、リペア
  • 自社ブランド「新宿キャットウォーク」における、デジタルガジェット用革ケースの企画・製造・販売

【ウリにしている点】

  • ベジタブルタンニンでなめした国産の最高級の革と糸しか使わない、世界一シンプルなデジタル機器用ケースの製造ができる
  • 自身がIT系出身で、デジタルガジェットのハードユーザーなので、ユーザーの使い勝手がわかるケースが作れる

【メッセージ】

見たことない珍しいデバイスや発売前などの製品のケースも作れます。普通のノートパソコンやタブレットなども大歓迎です。デジタルガジェットについては、この業界で誰よりも詳しい自信がありますので、ぜひご相談ください。

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